Amazon実店舗、奇妙な品揃え

米アマゾンが同社初のリアル書店Amazon Booksを11月3日、シアトルのショッピングモール内にオープンした。実店舗の目的は本を売ることではなく、データ活用だという。
同店のお披露目は実にひっそりとおこなわれた。先月上旬、ワシントン大学のそばにあるモールUniversity Villageで密かに進んでいた開店準備の様子を出版業界のニュースサイトShelf Awarenessが報じて一部の関心を集めたが、その記事がなければ誰もが気づかなかったかもしれないほどだ。
スタッフによると、実店舗ではオンラインショップで星4つ以上の高評価がついている書籍を厳選して販売しているという。しかし、地元の書店経営者はその品揃えを「非常に奇妙だ」と形容する。オンラインショップの余剰在庫を並べているようにすら見えるという。大規模書店がすぐ隣の大学キャンパス内にあるにもかかわらず、アマゾンはなぜこの場所にこんな中途半端な店をオープンしたのか?
その理由はデータだ。Amazon Booksはすべての本にプラカードが付いており、そこにはオンラインショップ上のカスタマーレビューの抜粋と星とバーコードが載っている。値段の表示はない。来店者が値段を知るには、スマホにアマゾンの公式アプリをインストールし、バーコードをスキャンする必要がある。これによって来店者のオンラインショップでの購入履歴、購入傾向、アマゾンのプライム会員であるか否かといった個人情報が収集される。それらのデータをもとにアマゾンはクーポンを発行したり、推薦コメントを表示したりして、来店者が今リアル店舗で手にしているその商品を買いたくなるように働きかけてくるのだ。
現在Amazon Booksの全商品はオンラインショップと同じ値段で販売されている。また店舗スタッフの話では、「買う人によって値段が異なることはない」という。だが将来的には、個人ごとに最適化された価格設定になることも考えられるという。
クライアントである他の小売企業に向けて、ネットとリアルの融合を実演して見せるショールーム。それがシアトルの小さな書店Amazon Booksの正体なのだ。